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郵便と信書

 最近、「やわらかい」記事が続いたので、たまには「難い」記事も。

 最近、郵便局の商品で、「EXPACK500」という名前の商品があります。
 この商品は、500円という均一の料金で全国どこにでも、重量を考慮することなく送ることが出来るというもので、かなり多くのところで利用されております。
 もちろん、専用封筒はそれほど「大きいものではない」ので、荷物を送る用途には不向きですが、書類などを入れるのには十分なサイズです。

 この専用封筒に、「信書を入れることは出来ない」旨が記載されております。
 以前から、書いてあること自体は気づいていたのですが、「信書」という言葉の意味がいまひとつピンと来なかったので、調べてみました。

 総務省のホームページに、信書の定義がのっておりました。

 「信書」は、郵便法第5条第2項(及びこれを受けた信書便法第2条第1項)に次の通り定義されています。
 特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書

 とのことです。
 きわめて平たく言うと、いわゆる「手紙」などが信書に当たる…ようなのですが、定義としてはきわめてあいまいなように感じる方も少なくないと思います。
 そして、この「信書」は、原則不可侵であり、理由無き開封にはかなり重い刑罰が課されております。
 また、「信書」を取り扱うには決められた方法で行わなくてはならず、それゆえに「小包」に同封する方法で信書を配達することは、「法律上」許されていない…のです。
 (そのため、もし同封されていた紙があった場合、「添え状」や、「注意のメモ書き」という扱いにすることで、法律上の適用を除外しているようです)

 そして、この「信書」を配達できるのは、郵便、もしくは認定を受けた業者のみが可能で、もし認定を受けていない業者(宅急便などが、代表例だと思います)が信書を配達すると、配達した業者だけではなく、それを頼んだ「当事者」まで罰せられるという、きわめて重い規定となっております。
 (なお、現在のところ、信書法に該当する認定業者は存在しない(厳しい条件過ぎて、参入できないらしいです…)ため、郵便が独占して信書を取り扱っているようです)

 このことで問題となった事例に、「地域振興券を信書に当たるとして、民間業者による配布を差し止めた」というものがあります。
 拡大解釈…としても、信書のカテゴリーからは反するのですが、上記のようにきわめて「あいまい」な定義のため、このようなことがたびたび起き、「配達業務」の民間開放の妨げとなっているようです。

 ちなみに、一部の宅急便などで用いられる「メール便」というものがあるのですが、その名に反して「信書」を取り扱うことが出来ないため、もっぱら「書籍」や「雑誌」の配送のみに使われている…という現実もあります。

 確かに、「通信の自由」とは非常に重いつながりのある「信書」。
 ですが、どうも法律の運用といい、実際の社会の動向といい、本来の目的とは「ずれた形で」用いられることが多い…ように感じてしまいました。

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法律関係」カテゴリの記事

コメント

その500円のって利用したことありまーす。
あの中に入るものなら宅配より安くて便利ですよね。
どのくらい入れられるかってテレビで実験してましたよー。
そういえば、「宅急便」って商標登録してるとかで、ヤマト運輸にしか使えないらしいですねー。他業者は「宅配便」。つい最近知ったトリビアでした~♪←みんな知ってることだったりして…

読んでる途中で「ん?宅配便のメール便は どうなの?!」って思いました。
そう言われれば書類とかですね。
今まで気が付かなかった・・・
知らずに エクスパックに手紙を入れちゃってる人はいるでしょうね。
‘いけない’のだったら、もっと分かりやすく言ってくなきゃ!!

 ル・シュクルさん、のんさん、こんばんは。

 To ル・シュクルさん

 コンビニなどでも売っているので、結構この「500円均一」、便利ですよね。
 ただ、いっそう「民間圧迫」になりそうですが…。

 宅急便が商標登録ということは、キキ(魔女の宅急便)はクロネコヤマト所属…ということが考えられますが、実は「宅急便」が商標登録されているのは、「宅配便サービス」のみなので、著作物である「魔女の宅急便」というタイトルは、商標侵害に当たらない…のです。
 (映画のタイトル自体には、商標権を設定できない…という事実もあったりします)

 加えて言うと、商標登録として、「魔女の宅急便」という名前は、別個のものとして登録されています(スタジオジブリによって、キャラクターなどに対する商標分野です)。
 …逆トリビアですね(笑)。

 To のんさん

 そうなんです!
 メール便という名前とは裏腹に、「手紙」を配達することは、今のところ出来ないという法律になっております。

 エクスパックに手紙を入れられない理由は、「信書」というものの配達方法(及び、それに対する不可侵)が法律上明記されていて、送る方法が制限されているから…なのです。
 それなのに、もっと大切なデータの入った「CD」などは、自由に宅配業者が送れるのですから、ちょっと規定が古いのでは…と思います。

こんばんは!勉強になりました!私はあまり利用する事もないので、使う事があったら気をつけます。(*^o^*)/

 kussamamatakachanさん、おはようございます。

 まあ、そんなに目新しい情報ではないのですが、「信書法(及び郵送法)の対象として保護される手紙を送るには、一定の形式で行う必要がある」ことと、「信書とみなされるものだけを送る場合には、宅配便は使えない」ということの二点だけ押さえれば、良いと思います。
 …後者が、郵便事業への民間参入を妨げる、大きな要因となっております。

はじめまして

ぼくはコンビニでメール便を扱っているのですが、
お客様記入欄の「信書はありません」欄にチェックマークを入れてもらってます。

なんでなのかなぁ…て思ってたら、こんな理由があったんですね。しかも手紙の配達は日本郵便独占なんや
参考になりました(*^_^*)

 リュウさん、こんばんは。
 そして、はじめまして!

 コンビニに勤めていると、メール便を使う機会、意外とあるのですね…。
 信書を同封できないというのには、法律上の裏づけがあるので、結構重要な問題だったりします。
 もしかしたら、「信書の自由(他人に見られない)」も、メール便には、反映されないのかも…と考えると、ちょっと怖くなりますけれどね。

 手紙の配達は、今現在だと、一社独占状態ですね。
 新規参入するところがあると、面白いのですが、スケールメリットなどを考えると、なかなか難しいでしょうね…。

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