ディアピアニッシモ レビュー
今回取り上げるゲームは、「工画堂スタジオ」の、ディアピアニッシモという作品です。
この作品は、データを収める媒体として、「USBメモリー」を使い、更にそのUSBメモリーを「フィギュアの形」に納めるという、意欲的な部分が気に入って、先行投資として購入しました。
USBメモリーの容量が128MBと、CD1枚(650MB)に比べてもかなり少なく、そのためゲーム自体の内容はかなり「少ない」ことは覚悟のうえ…です。
ちなみに、定価6800円、PC用の一般作品です。
カラット(ボリューム):1
ある程度予想はしておりましたが、その予想よりも更に短い作品でした。
ボイスが入っていないことも、短時間で終わることに拍車をかけていると思います。
また、「分岐のない、一本道」のシナリオなので、正味プレイ時間は早い人だと、2~3時間程度で終わってしまうかもしれません。
一応、「やりこみ要素」として、音楽のフリー演奏が用意されているので、多少はプレイ時間がのびる人もいると思いますが、「ほかの作品に比べて、短時間で終わる」ことだけは間違いないと思います。
硬度(システム):B
過不足なく、そろっているという印象があります。
また、「リズムよく演奏するパートがあるゲーム」だけに、画像の軽量化処理が結構充実しているのは、低スペックのマシンに配慮されていて、良いと思います。
必用な部分はそろっていますし、何より「ボイスがない」ので、シンプルなシステムであっても、特に不満は感じませんでした。
また、「演奏パート」については、飛ばせるようになっている点なども、きちんとユーザー側に立って作られたシステムではないかと思います。
カラー(グラフィック):B
ちょっと「PS時代」を思わせるような、あっさりした塗り方ですが、作品にはあっていると思います。
イベントにおいても、必要な所に必用なだけの枚数は確保されている…と思います。
もっとも、そもそも「シナリオが短い」ので、十分なように感じるのは、当然なのかもしれませんが。
キャラクターの表情なども、かわいらしく出来ているので、問題はないと思います。
クラリティー(音楽):A
さすがに、曲数は少ない…のですが、通常時で9曲、ボーカル入り(演奏パート可能な曲)が5曲と、データ量の割にはがんばっていると思います。
また、通常時の音楽は「そこそこ」程度の出来なのですが、ボーカル入りの方の出来は、かなり良質で、びっくりしました。
さすがに、「シンフォニック・レイン」と比較すると、繊細さはないのですが、その分明るい曲調で、結構お気に入りです。
なお、前出のように、ボイスは入っていない(厳密には、ボーカルは入っているのですが、それ以外の「会話部分」では、一切声はないです)作品です。
ブリリアンス(キャラクター):C
キャラクターについては、「可もなく不可もなく」という感じ…でしょうか。
とにかくシナリオが短いので、それぞれのキャラクターに対して、「掘り下げる」所までは書ききれていないという感じがあります。
また、ヒロインがかなり「普通そうに見えて、突飛な部分がある」のですが、これを魅力的と受け取れるかどうかは、人によってかなり差があると思います。
ただ、意外と「脇役」のキャラクターがたっているのは、良かったと思います。
キャラクターの「数」は多いのですが、こうなると「シナリオが一本道=攻略できるのは一人」というのが、残念になってきます。
もう少しシナリオの幅が広ければ、より「キャラクター」も生き生きとして、さまざまな側面を描きやすかったのでしょうが、かなり「駆け足」で設定が明かされる感がありました。
カット(シナリオ):C
とにかく、まずは「シナリオは一本道」ということに尽きます。
(厳密には、「演奏パート」の失敗によって、ゲームオーバーへの分岐は存在しますが)
そのため、いくつもある設定があわただしく回収され、また「未回収の伏線」が、相当残ってしまう形となっております。
もっとも、この作品は「シリーズ化」を前提に作られているので、もしかしたらそちらで使用するのかもしれませんが…。
また、かなり「ギャグ寄り」な所があるので、シンフォニック・レインのような「重厚かつシリアスな」シナリオを期待すると、思いっきり肩透かしをうけると思います。
シナリオ自体も、「軽め」ですしね。
意外にも、手堅くまとまっている部分はあります。
ぴあの(ピアノの妖精)の正体など、予想は簡単につくのですが、それでも十分に満足できましたし。
とはいえ…とにかく「尺が足りない」という欠点は、大きいです。
幾つもの魅力的な設定が、生かされないまま回収されてしまうので、「惜しい」という感じが強くありました。
クオリティー:C(凡作)、ただし、ボーカルはB(良作)
ボーカルは、結構好みです。
ただ、この作品自体を冷静に判断して、「人にお勧めできる作品」であるかどうかと問われれば、「否」と答える事になりそうです。
もっとも、フィギュアに興味を持った方や、私のように「先行投資」として買うのであれば、損とも言い切れないのかな…とは思います。
とにかく、ボリューム不足が痛いです。
次回の作品では、「圧縮」などを使い、また「メモリの容量ぎりぎり」まで使い切ることで、もう少し充実した作品を提供してもらいたいです。
正直、他社の2800円作品と比較しても、かなり「少ない」印象を受けたので…。
酷評のようですが、実は「ボーカルが好み」のため、個人的には「損をした」とは思っていない作品だったりします。
次回作までなら、購入しても良いかもしれません。
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