今回は、カプコンの、「GOD OF WAR」というゲームについてのレビューです。
ちなみに、この作品は、「NEO」さんという方のサイトのレビューを見て興味を持ち、購入しました。
PS2の「アクション」作品なのですが、18歳以上対象(暴力表現があるので…もっとも、「非現実的(というよりも、人間離れした)」な物なのですが)となっており、未成年者には発売しないお店もあるようです。
(もっとも、9月に発売される「廉価版」では、CERO(レーティング)は「D」で、17歳以上向け…であり、「Z」の18歳以下発売禁止ではないのですが…)
カラット(ボリューム):3
これは、あくまで「1プレイにかかる時間」であり、やりこもうと思ったら、かなりかかると思います。
(最高難易度など、基本的にヒットエンドランで行わなければゲームにならないので、しゃれにならない時間を要しそうです…)
私の腕前では、「イージーでも」クリアに大体14時間程度かかりました。
それも、ある程度「謎解き」については解答などを見ながらプレイしてなので、普通にプレイする場合であれば、更に時間がかかると思います。
硬度(システム):B
このゲームは、アクションを苦手とする人にとっては、かなり大変かもしれません…。
何しろ、PS2に備えられている全てのボタンを使用するのですから。
私みたいに、アクションになれていない人間は、それだけでパニックになれます(笑)。
そして、個人的には「いつでもセーブできる」アドベンチャーに慣れているという点もあると思うのですが、セーブポイントの配置が非常に「意地悪」に感じました。
謎解きを済ませた「後」にセーブポイントが出来るなど、分からなかったらかなり前のポイントからやり直しを強制されるというのは、いかがなものか…と思います。
そして、細い橋を渡るところでは…およそ英雄らしからぬ「へっぴり腰」を強要されて、かなりいらいらさせられました(笑)。
落ちると、一撃死ですから…。
これに限らず、一撃死の「トラップ」は、多数存在するのですが、やり直しをするときの開始地点がトラップの近くに設定されているので、ここは「トライアンドエラー」をする作品だと割り切ってプレイした方が良いようです。
後、どう考えても「一撃死」と思うトラップが単にダメージを受けるだけだったり、この程度ならダメージを受けるだけだと思うようなものが一撃死だったりする、ちょっと理不尽な点はあったように思います。
ただ、「ロード時間が非常に短い」ため、画面の切り替え(及び、死亡からの復帰)などでは全くストレスを感じなかったというのは、特記すべきことだと思います。
HDにデータを格納するPCゲームではないにもかかわらず、これだけノンストレスで操作できたという点は、高評価です。
イージーだと、「戦闘」は楽なのですが、トラップの難易度は全く変わらないので、プレーヤーの技量が要求されるゲームだな…と思いました。
そのため、「誰にでもオススメできるシステムをとっていない」という意味で、この評価です。
アクションが得意な方であれば、「十分以上に素晴らしいシステム」と感じる人もいるのではないかとは思いますが…。
ちなみに、エンディングは一つ…だと思います。
最高難易度は「プレイできる物ではない」ため、確認していませんが…。
カラー(グラフィック):S
さすがはPS2の作品…というべきか、グラフィックについては「文句のつけようの無い」出来です。
いわゆる、FFなどの作品のグラフィックに匹敵する物の中で、プレーヤーが「リアルタイムで」戦闘を行うのですから、そのダイナミックさは圧倒的です。
また、背景となる「ギリシャ神話の神殿」などについても、圧倒的なクオリティーで、動いている画面を見るだけでも圧倒されます。
また、システムで取り上げた「一撃死」のトラップも、ダイナミックで迫力満点のものが多く、まるで「探索物の映画のワンシーン」のような盛り上げ方なので、やられる事もまた一興…みたいなところがあったりします(笑)。
一例を挙げると、「目の前にある歯車の隙間が閉じていき、閉じきったところで周囲からトゲが突き出されて中の人間を串刺しにする」なんていう、ダイナミック極まりない物がいくつもありますから。
クラリティー(音楽):B
音楽は…「洋ゲー」というよりも、むしろ「洋画」的といったほうが正しいと思います。
曲単体として考えれば、それぞれは突出した物ではないのですが、ゲームを盛り上げる「BGM」としての働きで考えれば、非常に効果的だと思います。
画面と相まって、映画の中に放り込まれたような印象を与えると思います。
また、主人公の「声」が、荒々しく、きちんとキャラクターにあっていたのも高評価。
ブリリアンス(キャラクター):B
基本的に、登場人物そのものが少なく、またそのほとんどが「一時的な接点を持つだけ」の「神」なので、主人公と敵役くらいしか「性格の定義づけまでされている」キャラクターはいないように感じましたが、この主人公がかなり「魅力的」です。
自分の目的のために、ひたすら邁進するという行動原理のため、行動全体に一本「すじ」が通っており、残酷なことも、人助けも、「目的に至る為の手段」であるため、それらを「必然性を持って行っている」ように感じられるので、たとえ残酷なことを行っても、嫌悪感を持たずにすみます。
しかも、目的は「復讐」ではなく、「解放」なので、共感できますし。
敵役は…こちらは単なる「パワー馬鹿」にしか見えなかったのが、残念ではあるのですが、これもまた「洋画的」なのかもしれません。
カット(シナリオ):C
良くも悪くも、洋画的…というのは、シナリオにおける大きな減点要素になってしまいます。
ギリシャ神話の世界における、いわば「聖杯探し」…という大きな枠、及び主人公の戦う動機の描写などはあるのですが、シナリオとして考えると「薄い」と思います。
また、後者においては、小出しにされるため、かなり後にならないと「主人公の立ち位置」が明瞭にならないというデメリットもあると思います。
キャラクターが「神」であるため、ある意味では「ヘラクレスの栄光をなぞる」という部分があり、脳内補完することでシナリオにも「肉付け」が出来るのかもしれませんが、あいにく私はあまりギリシャ神話に詳しくなかったので…。
そして、エンディングが、個人的にはかなり「不満」なものでした。
ネタバレにつき、反転します。
エンディングで、主人公は神に「救われ」、神として君臨することになるのですが、これは個人的には「他に類を見ないほどの、最大のバッドエンド」に感じました。
彼は「自分が家族を殺したという、悪夢からの解放」を求めて、神の戦士として戦い続けていたにもかかわらず、その記憶からは解放されることができず、その上神として未来永劫その悪夢と付き合い続ける…という風に考えると、見た目上はいかにもきれいに収めているように見えますが、彼自身としては「最悪の結末」でしかないと思います。
にもかかわらず…エンディングで浮かべた「笑み」が、せっかく一貫性を持っていたキャラクターに対して、それを崩してしまうように感じました。
あるいは、これこそが「狂気で壊れた」ということの象徴だったのかもしれませんが…。
もっとも、こういう「悲劇性」というものは、ギリシャ神話自体に内包されるところがあるので、ギリシャ神話をベースとした物語の「結末」としては、正しいのかもしれません。
ただ、個人的には、スタートがエンディングで、そこで「死こそが解放」であるとナレーションされていた以上、そこで「救われた」方が良かったのかな…と思いました。
クオリティー:B(良作~秀作)
このゲームは、良くも悪くも「スケールの大きい」ゲームだと思います。
そのため…「突き抜けた映画表現を好む」方、及び「アクションが得意な人」にとっては、この評価よりも「上」の評価をすることは、十分考えられると思います。
逆に、「細かい粗を気にする」ようなタイプの方、及び「アクションが苦手な人」には、ちょっとオススメできないかな…と思いました。
ちなみに、「廉価版」の発売が予定されておりますので、購入される場合は9月下旬まで待った上で、そちらを購入された方が良いのかもしれません。
宝石のイメージ:ブラッドストーン
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