今回レビューするのは、コナミの「OZ」という作品です。
2005年発売のゲームで、現在ではベスト版も発売されています。
この作品は、イレブンズ ヘブンにて紹介されており、興味を持ってプレイすることにしました。
アクションゲームで、12歳以上推奨(ほぼ、全年齢対象と変わりません)です。
かなりの難易度とのことだったので、不安を抱きつつのプレイでしたが、なかなか楽しめました。
カラット(ボリューム):3.5
一プレイでも、結構時間がかかります(最初のプレイだと、15時間以上はかかるかと)。
加えて、マルチエンド方式をとっているため、複数回プレイが前提となっていること、隠し要素が充実していることなどを考えると、このゲームはかなりのボリュームであるといえます。
また、EXモードという、プレイヤーキャラを変えてそれぞれの面をプレイするモードがあったり、ランキングでプレイヤーの評価がされる(Sランクをとるには、相当の腕前が必要とされると思います…私では無理かも)ため、やりこみという意味でも十分だと思います。
硬度(システム):A-
このゲームのシステムは、かなり変わっております。
基本は3Dの、主人公を後ろから見る視点のアクションなのですが、1人で戦ったところで、このゲームでは強敵に勝つことは到底望めません。
仲間とともに戦うのですが、このゲームの「コンビネーション」は、普通の戦闘とは全く異なる感覚だと思います。
敵キャラクターを、仲間のところに「放り投げる」様な形をとり、それを仲間がキャッチし、また自分のところに投げ返されたのを上手く拾う…という、いわば「バレーボールとキャッチボールが融合したような」戦いかたになっています。
そうやって、キャッチボールをしているうちに必殺技のゲージがたまるので、そこで必殺技を解き放ち、強敵にあてる…というのが、基本的な戦いかたになると思います。
そのため、最初は自分から仲間に投げるのはともかく、投げられた敵を拾うことがまったくできないため、必殺技を打つことが出来ず、きわめて難易度の高いアクションに感じることになります。
ところが、プレイをしていくうちに慣れてくると、しっかり仲間との受け渡しが出来るようになり、必殺技もガンガン放てるようになるため、敵を蹴散らす爽快感を味わえるようになっていきます。
そうなればしめたもので、仲間にパスしてゲージを溜める→必殺技を放つ→強敵を吹き飛ばして仲間に受け渡し、必殺技の分以上にゲージがたまる→最強の必殺技でフィニッシュ!というような、気分爽快なプレイを楽しむことが出来ます。
必殺技で敵を倒すと、エテリア(この世界でのお金みたいなものです)も稼げるので、一石二鳥。
実際、ベストのエンディングに到達するためには、特定のボスを必殺技で倒す必要があるため、気分の問題だけではなく、必殺技で敵を倒すくせをつけるというのは有効な戦術になります。
もっとも、慣れるまで(そして、無理につなげるよりも、落とした敵を空中からの急襲で跳ね飛ばして仲間に渡す方が楽だと気付くまで(苦笑)…私の場合は、ですが)に、最低数時間はかかってしまうと思いますが。
ちなみに、仲間の「敵をキャッチする能力」は、自分自身よりも圧倒的に高いため、とにかく敵を仲間のいる方に吹き飛ばしさえすれば、後は自動的に仲間がキャッチしてくれるため、吹き飛ばしの段階では、それほど「3D特有の、軸をあわせにくいという問題点」は考えなくてもいいというのは、助かります。
もっとも、必殺技では、しっかり軸をあわせないといけない(一部キャラを除く)ため、慣れないと必殺技があさっての方向に…ということがしばしば起きると思いますけれどね。
ちなみに、自分の操作キャラは、条件を満たすことで徐々に増えていきます。
仲間のキャラクターでプレイすることで、また違った攻略が出来るというのは、アクションゲームとしての寿命を延ばすという点でもいいと思いました。
さらには、キャラクター限定の「コスプレ」もあったりする(しかも、さまざまな固有効果あり)ので、それを集めるという楽しみもあり、アクションゲームとしてはかなり「寿命が長い」作品だと思います。
視点などの点では、かなり問題があるため、それもまたキャッチボールの難しさに悪影響を与えていると思います。
そのため、システム自体の評価としては、多少減点せざるをえない…という感じでした。
また、アイテムが数多く用意されているのですが、特定のアイテムを装備することによる難易度の変化があまりにも大きすぎて、そのアイテム無しでプレイするバランスになっていないのでは、と感じたのも、減点対象です。
ただ、慣れてからの爽快感は、他のアクションゲームと比べても特筆すべきものがあると思います。
ゆえに、総合得点としては高めのA-という評価にしました。
カラー(グラフィック):C
アクションということで、ゴッド・オブ・ウォーと比較してしまうと、どうしてもグラフィックの荒さは隠せません。
また、イベントシーンのキャラクターの表情なども、かなり「癖のある」絵柄で、人を選ぶと思います。
いわゆる、「童画における誇張」みたいなものが感じられるので。
もっとも、世界観を表すという意味では悪くないとは思いますけれどね。
一番の問題は、必殺技。
視点がダイナミックに動く形をとるため、見栄えはするのですが、ゆえに相手の位置やロックしている敵を見失いやすく、「グラフィックとしてはよくとも、システムとの相性が悪い」ように感じました。
どちらかというと、システムにあわないグラフィック演出であると思うため、グラフィックの減点対象とします。
クラリティー(音楽):A-
音楽は、かなりいい感じです。
基本的にアクションなので、ステージごと、及びボス戦で一曲ずつ使うような感じなのですが、それぞれのステージの雰囲気にあっており、幻想的な感じをかもし出すことに貢献しています。
イベントでの音楽も、挿入タイミング、メロディーラインともに優れており、下手なアドベンチャーゲームのイベントシーンよりも演出では上回っているかもしれません。
曲数自体も、40近い数で、アクションゲームとしては非常に多いと思います。
ブリリアンス(キャラクター):A
主人公がまっすぐな正義感を持つタイプなので、プレイしていて気持ちがいいです。
また、仲間も、一人は常に冷静な視点を保つ女性、もう一人は熱血漢の男性で「チーム」になっており、物語を盛り上げるのに欠かせないバランスが保たれています。
また、物語に登場するほかのキャラクターも、描写は少ないながらも、しっかりと個性が表現されており、物語に深みを与えていると思います。
ちなみに、アクションゲームのため、キャラクターはそれぞれ性能面(攻撃方法、必殺技の軌道、及びパラメーターの最大値)でも個別化されているのですが、これまたしっかりと性格を反映しており、プレイしていて全く違和感を感じさせません。
時々、熱血漢の仲間の必殺技が、全く敵のいないあさっての方向に飛んでいくのも、彼の性格を考えると納得ができますし…(笑)。
その分威力は高いので、ボス戦では大活躍、というところも、そのキャラクターらしいと思います。
ところで、ベストエンドの動画を見る限り、スタッフは某ツンデレキャラクターに愛情を注ぎまくっているように感じるのは、私だけでしょうか?
カット(シナリオ):B+
元々、「祟り神によって、侵された世界」をベースにしてあるだけに、シナリオはかなりきつい描写が目立ちます。
一部、12歳の子供がプレイするには、きつすぎるのではないか…と思わせられるようなところも。
(実験体の骸骨のシーンは、戦闘中の相手のセリフと相まって、かなり苦しかったです)
シナリオの方向性は、ずばり「神殺し」であるため、私にとってはとっても受け入れやすいテーマでしたけれどね。
ただ、「最後の敵」の描写については、やや唐突に感じるところもありましたが。
エンディングも、世界観にあわせてか、ベストエンド以外はどれも悲しい感じの結末になっています。
もっとも、ノーマルエンドの描写は、個人的には悲しさよりも美しさの方を感じましたし、そこでの「仲間の演出」が非常に心を打つものだったため、このエンディングはお気に入りです。
外伝…といえるシナリオも、それはそれで楽しめました。
断章Aは、そのシュールさに大笑いしましたし(きちんとリザルト画面のキャラクター名まで変わっているところに、芸の細かさを感じます)、断章Bは、背景、及び今までの某キャラクターの行動の矛盾についての説明となっており、こちらは物語を補完するという意味で欠かせないものであると思います。
追加シナリオは…キャラクターの弱さ(一方)、そしてキャラクターの強さ(もう一方)がすさまじいです…。
クオリティー(総合評価):A-(名作~傑作レベル)
とにかく、難易度が高いため、敷居は相当高いと思います。
個人的には、難易度は、イージーが標準であり、ノーマルが普通のハード、ハードは腕自慢用の特別なモードと思えるくらい、難しく感じました。
しかし、システムを理解することが出来れば、この戦闘システムの面白さは、他のゲームでは味わえない、特有のものがあると思います。
また、難易度が高い分、自分が上達したことが肌で感じられるというのは、アクションゲームの楽しさとして、非常に大きいと思います。
万人にお勧めできる作品とは少々いい難いのですが、アクションを楽しみたいという人にとっては、試す価値のある作品であると思います。
宝石のイメージ:特定の宝石というよりも、三つの宝石をあしらったティアラ(小さな王冠)
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