公正証書遺言でも、安心できない!
昨日、久しぶりに友人と飲む機会がありました。
ところが、なにやらかなり不機嫌な様子…。
仕事で何かあったのかと聞いてみたところ、とんでもないことを口にしていました。
なんと、「公正証書遺言に反した、登記を行った司法書士がいる」…とのことなのです!
詳しい経緯(もっとも、かなりガンガン飲んでいたので、聞き取れた範囲になりますが)は、次のようなことでした。
まず、最初にその事務所が、「連件(数件の申請をひとまとめにすることで、途中に別の登記が入って、順番がずれなくするための処理です)」で、一人の人間に対して、相続と遺贈(相続権が無い人に、譲ることが出来る制度です)の登記を出してきたそうです。
そのときは、彼が遺贈の登記を調べて、公正証書遺言(お金のかかる、もっとも信頼できる遺言の形式です)の中に、「全ての財産をAに譲る」という文言を発見しました。
この場合、全ての財産はAのものになるのですから、当然相続が発生するはずが無く、間違った登記をしているということになります。
彼の指摘によって、一度この事件は、取り下げさせることになりました。
その後、今度は「時間差」で、先に相続の登記を出してきたのです。
残念ながら、法務局では、「書面審査=形式審査」なので、形式が整っている以上、実態的な権利関係には踏み込むことが出来ず、その登記はそのまま進み、登記記録に記載もされてしまいました。
その後に、遺贈の登記を出してきたのです!
添付されている書面に、余計な文言が数多く含まれているため、すぐにこの事件のことだと気付いた彼は、登記を止めようとしたらしいのですが…書面審査である以上、どうしようもない、ということを告げられたそうです…。
また、これは明らかに、司法書士法に違反する、脱法行為であるにもかかわらず、上司の腰は重く、まったく動こうとしないとか…。
お役所の事なかれ主義が、こんなところにまで発揮されていることに、彼は怒りを覚えたようです。
何よりも、一番彼が怒っていたのは、「公正証書遺言」で、子への相続をさせないように、注意を払って亡くなった故人の意思を、踏みにじるような形で、登記を行っているということでした。
いくら遺留分があるからといって、それは行使して初めて効果があるものであり、まず一旦は遺贈が優先され、その後に遺留分減殺請求を行わなければ、ならないはずなのに、その手続きをすっぽかして、こんなやり方を行うというのは、明らかな脱法行為で、許せない…とのことでした。
ブログに掲載していいかと尋ねたところ、「むしろ積極的に、こんな事例があるということを知らしめて欲しい」とのことだったので、記事にしました。
お金をかけて行う、公正証書遺言によってなお、故人の意思が保たれないとなると…果たして、どうやったらいいのか、分からなくなってしまいます。
最後の手段として、「廃除」という、その人間を相続人からはずすということもありますが、最近ではめったに認められていないようですし…。
本当に、ひどいことが行われているのだな、と、感じてしまいました。
追記…先例によると、「遺留分減殺請求を、遺贈の登記よりも先に行った場合」は、相続の登記ができるそうです。
しかし、その結果、遺留分を超える相続の登記が提出される危険があり、そちらに対しての歯止めは、一切ないというのが現状です…。
脱法行為ではなかったものの、このような事態が発生することを考えると、やはり公正証書遺言だけで、安心することはできそうにありません。
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コメント
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こんばんは☆こねこです♪
何回読んでも、その手続き・・・素人の私でも納得のいかないことこの上ないです。
違法でなければ何をしてもいいのか!?と私でも怒りを覚えます。
みんなが知らない話題も、これからどんどん紹介してくださいね(微笑)。
ねこでした。ニャン☆
投稿: こねこ | 2009年3月 4日 (水) 20:16
こねこさん、こんばんは。
今回は、先例を見落としていたとはいえ…悪用しようと思えば、やりたい放題の先例そのものが、間違っているとしか思えません。
本当に、腹のたつ事案でしたよ…。
聞いていた私ですら、憤りを感じるくらいですから、実際に遭遇した彼の怒りは、計り知れないな…と思います。
まあ、あんなにお酒を飲んで、今日大丈夫だったのかな…と、心配にはなってしまいますけれどね(笑)。
投稿: mark | 2009年3月 4日 (水) 20:29
にゃぁ‥

難しいぃぃ‥
遺言書は、悪用される可能性もあるので、自分できちんと、考えて利用しなければいけないんですね
まだまだ先、と思いがちでも他人事ではないのかなぁと思います
投稿: リュウ | 2009年3月 4日 (水) 21:01
リュウさん、こんばんは。
かなり、専門知識全開で書いた(彼と似たような仕事なので、私もその辺りの知識があるので)ので、複雑だったかもしれません…。
端的に言えば、「遺言書を無視して、登記という手続きを行われてしまった」ということなんですけれどね。
死者の意思を冒涜するようで、許せません…。
遺留分についても、あらかじめ組み込むというのは、明らかに不当だと思いますし。
遺言書だけで安心せず、本当に一銭もお金を渡したくない相手がいるのであれば、「相続廃除」という手続きが必要ということなのですが、それがなかなか認められないというところにも、問題があると思います…。
日本の相続体制、故人の意思をあまり尊重しないシステムになっているのだな…と、痛感しました。
まあ、リュウさんにとっては、まだまだ先の話だと思いますよ。
ただ、どうしても許せないほど、子供にひどいことをされた時などは、気をつけておいたほうがいいと思います。
投稿: mark | 2009年3月 4日 (水) 21:28
これじゃあ自分が死んでからも安心して眠れませんね・・・。
以前財産の相続を自分でどうするかなくなる前に遺言などで決めておいても、その通りにはならないって聞いたことがあります。
これのことなのかどうかは分かりませんが、法律の抜け穴みたいな所を突いてくるような行為、道徳的にどうなんだろうって思いますよね・・・。
投稿: しま | 2009年3月 5日 (木) 15:43
しまさん、こんばんは。
遺言で決めても、そのとおりにならない…まさにそれが、「遺留分」というものなのです。
一定の相続人に対して、相続分の半分(つまり、配偶者ならば4分の1)は、たとえ遺言をもってしても、相続させなければならないという制度です。
生活の安定のため…ということですが、非合理な結果を生み出すことがしばしばあるのも、また事実なんですよね…。
その遺留分すら渡したくない場合は、「相続廃除」という手続きがあるのですが…条件が非常に厳しく、ほとんど利用できないというのが実態です。
何しろ、変な宗教団体(オ○ムなど)にはまって、確実にそこへの献金に使われてしまう…という状態ですら、認められなかったのですから…。
この制度が、もう少し柔軟に機能すれば、道徳的にまともな相続、遺贈ができると思うんですけれどね…。
投稿: mark | 2009年3月 5日 (木) 19:40